ピラーテス2009/08/18 10:01

昔からスポーツはあまり得意ではありませんでした。特に、走ったり泳いだりと、ツラクなるものは絶対に。かろうじて球技だけはなぜか好きでしたが。

そんな私がこの何年かハマッテいるものがあります。スポーツとは言えないかもしれませんが。
そのひとつ、ピラーテスに今日は久し振りに(一ヶ月ぶり!)行きました。
日本では「ピラティス」と言うそうですが、もともとはドイツ人のヨゼフ・ピ
ラーテス氏が始めたものなので、オリジナル尊重の意味も込めて「ピラーテス」と言わせてください。

ハマッタ理由はいくつかあるのですが、年齢を重ねてくると、それまで無意識に使っていた体の筋肉が衰えてきて、そこを“解明”して意識させてくれること。個人レッスンでは先生がきちんとコントロールしてくれるので、間違わないこと。
そして何よりもツラクないこと!! いろいろな動きをさせられるのですが、あ~大変、と思い始めるときにはもう次の運動なので、「鍛えているけれどシンドクない」という気持ちが持てます! そして歌い手は一番大切な「腹筋をどのように正しく鍛えるか」が分かってきます。

先生の資格を取るには、850時間以上のレッスンを受け、解剖学的な講義と筆記試験、そして審査員の前で5人以上の公開レッスンをして合格点をもらわなければならないそうです。
「ユミコ、暇で退屈だったらライセンスに挑戦してみたら?」・・・ヒマでタタ・タ・イ・ク・ツ・・・?!? それよりまず、私の年齢を誤解しているみたいです、ここのピラーテスアカデミーの先生は!!


鮫島有美子(ソプラノ)

小なるオーケストラと大なるオーケストラ2009/08/18 10:34

先回のリズム・テンポの話は、私たち人間の体内で起こっている「生体リズム」にも共通して言えることだと思う。心臓は常に脈打っている。また、脳にも脳波があってその波長の違い( テンポの違い) から様々な脳波が観測されるという。低い( 遅い) 波から高い( 速い) 波まで、これらの脳波がひとりの人間から常に出ている。つまり電氣振動してい
る。安静時にはアルファ波が強く出ている等言われて、その人その時の心身の状態を間接的に示す目安になっている。

身体の作りを見ても興味深い。人間の身体は関節によって様々な動きをするが、足首、膝、腰、肩、首、肘、手首だけ見てもそれらの関節を中心に円運動をしている、多重振り子であることがわかる。それぞれの部分のリズムが調和して骨格を形成している。「棒立ち」では動き得ないのである。人間の関節はいくつあるのだろう?

先述の脳波のように、一つの脳から複数の波が見られるのと同様、声や楽器の「音色」というのも、複数の波で成り立っている。一番低い音波を「基音」といい文字通り土台の音、その上に「上音」と呼ばれる様々な高さの音波が無限に息づいている。この上音の構成の違いが音色の違いを生む。やはり音も上へ向かって響いているのだ! 音波は振幅だから回転しているとも言える。即ち音自体がリズムで、大小無限のリズムが調和して回転している、とも言える。

オーケストラの響きはその人数分の音が基となる訳だが、一つの楽器から無限の音波( リズム) が出ているのだから、無限の二乗倍となる。
こういった事象から、限りない調和の可能性が見えはしないだろうか。単なる音程やリズムの整列、といった表層的な次元を超えたものとして。

光は粒( 光子) の集まりだという粒子説と、波( 場) だという波動説の、これらどちらかが正しいということではなく、実は光には粒と場(波)という二重の性質があるという。
粒だけを見ようとすれば波としての性質は見ることができず、波としてとらえている時には粒としての性質が見えない。人間の脳は1つのモノに対して見られるこれら2つの性質を同時に見ることが出来ないという( N. ボーア「存在の相補的二重性」)。「場の研究所」主宰の清水博・東京大学名誉教授はこれをもとに場と個人との関わり合いについての研究を進めている。

個としての性質を局在性と呼び、全体に拡がる性質を偏在性と呼ぶ。先回のテンポの話もこの相補的二重性が認められる。局在化したテンポ6 0という円運動から同じく局在化した他のテンポを求めるには、これら2つのテンポに共通して存在する偏在的なある何かを感得している必要があるからだ。

オーケストラが社会に於いて存在する意義というのは、まさにこの「相補的二重性」を認め、その音楽をひらいていくことにあると私は思う。画一の全体主義や機能性を追求することは確かに「美」として求められるが、局在的要素といえよう。無限に小さい( 速い)リズムと無限に大きい( 緩い) リズム、両極端が感じられる響きとは、仏教で言う一即多・多即一に通じるだろうか。

オーケストラのステージでは、その人数分の心臓が鼓動している。そして会場には数千人の聴衆が。
それら全ての心臓が大きなひとつのリズムと呼応するビートで、意味のあるリズムを!そして立ち上がる響きを!


竹内将也(パーカッション)