名指揮者をデフォルメものまね その22009/07/28 09:41

第2回 あこがれの指揮者「チェリビダッケ」


ドイツで活躍した、ルーマニア出身のセルジュ・チェリビダッケは、
私にとって「神様」とも言うべきあこがれの指揮者でした。彼と出会ったのは、クラシックに思いっきりのめり込んでいて、ブラスバンド部にも入っていた高校時代です。
最初に見たのは、テレビで流れていた来日公演の演奏でした。曲はムソルグスキーの「展覧会の絵」。
その時、自分のそれまでの想像範囲を超える、衝撃的な解釈の数々に打ちのめされました。

念願のチェリビダッケの演奏を実際に聴くことができたのは1996年。
彼が最後に出会ったという名楽団、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団の本拠地ガスタイクでの定期演奏会です。彼が登場しただけで、満場の聴衆はスタンディングオベーション。
その時の光景は今でもはっきりと覚えています。

この日の後半に演奏された、ベートーベンの「交響曲第2番」第2楽章の途中では、私の隣にいたご婦人が突然泣き始め、会場のあちらこちらからも聴衆のすすり泣きが聞こえてくるほどでした。
それでもチェリビダッケは、感情を全く乱さず、終始穏やかに音楽をコントロールしていました。
演奏が終わると、会場は興奮のるつぼで、百戦錬磨の演奏家たちも放心状態でしたね。

演奏を終えたチェリビダッケは、いつものように禅のスタイルで合掌をしていました。
禅に傾倒し、輪廻転生も信じていたと言われる彼はこの時、誰に手を合わせていたのでしょうね。
私は「もう一度来るぞ」と心に誓い、同年に再びガスタイクを訪れましたが、私の神様は既に亡くなった後。あの日が最後の演奏会になりました。

彼のまねのポイントは、いつも頑固で、孤独で、ニコリともしない表情ですね。そして、むちをたたくような大きな振り方も特徴です。私のステージの最後を飾るのが朝比奈さんなら、最初に持ってくるのはチェリビダッケというくらい、私の中でこだわって大切にしている指揮者ですね。


好田タクト(パフォーマンス)

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